助産師の仕事は、妊婦健診などの産前指導、分娩介助、産後のケアや新生児の保健指導の3つに大別することができます。
それぞれ業務内容は決まっているものの、お産の日時だけは予測することができないため、他の業務に支障をきたさないよう、役割分担をしてシフトを組んでいる職場が多いようです。
ここでは、お産がある時期とない時期に、それぞれ助産師がどのような業務をこなしているのかをご紹介します。
お産がない日の業務は「申し送り」から始めます。申し送りとは看護用語で、患者の状態について共有することを指します。個人情報が含まれているため、ナースステーションで行われることが一般的です。ここでは陣痛がおこりそうな人、新生児の状態などについて共有されます。
申し送り後は担当の妊婦や新生児の検診をして回ります。体温や血圧の測定、新生児は心拍の確認を行います。その際に妊婦のメンタルケアや出産についての情報を伝えることも重要なプロセスです。
午後は妊婦指導から業務を再開します。妊婦に対してラマーズ法を用いた呼吸の仕方や、マッサージの方法を指導することで、出産に向けての準備をサポート。お腹の胎児の状態チェックもしっかりと行います。
退院する褥婦(じょくふ)へ退院後の生活指導を行います。病院から離れることを不安に感じる妊婦さんも少なくないので、ここで助産師が丁寧に指導を行って、妊婦さんの生活への不安を軽減させるお手伝いをする必要があります。
業務を終えたら、夜勤のスタッフと申し送りをして退勤します。
出産がある日には、妊婦の状態に合わせて業務を進行させます。
お産がある時期もない時期と同様に、申し送りから業務を開始します。お産を迎える妊婦、胎児の状態、陣痛が近い妊婦が担当患者以外にもいるのかなど情報を確認。立ち会い出産を希望しているのかも、申し送りで共有します。
すでに陣痛が始まっている妊婦がいる場合は、声を掛けて励ます、身体をさするなどして出産のときを待ちます。妊婦の子宮口は通常4~5時間で開ききりますが、初産の場合には10時間以上掛かることも。
子宮口が全開に近付いたら分娩室に移動させてお産の介助を開始、呼吸の方法やいきみ方を指導して、出産の瞬間を迎えます。
無事に赤ちゃんが生まれたら、赤ちゃんの状態を確認し前身を清拭します。肌着を着せて新生児室に寝かせる前に、お母さんの肌と赤ちゃんの肌を触れ合わせる「カンガルーケア」を行う産院もあります。母子に異常がないことを確認し病室へ送った後、分娩室の片付けと記録を行います。
その後デスクワークと申し送りを終えたら退勤です。
担当妊婦の出産が勤務時間外になってしまった場合は、夜勤の助産師や当直の医師に引き継ぐことになります。昼に出産の兆候が見られなかった妊婦が夜になって出産するケースも大いにあるため、どの助産師、医師が見ても妊婦の状態が分かるように記録を残すことが重要です。