保健師から健康運動指導士になるには

健康運動指導士は、生涯を通じた健康作りをテーマに、個々の心身状態に応じた安全で効果的な運動プログラムを作成、指導する役割を担っています。
例えば、糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病の問題を抱える中高年者や骨、筋肉、関節などの運動機能に障害が起き、歩行や日常生活に支障をきたしている高齢者に対し、医学の基礎知識や検診結果に基づく運動指導を行います。
また、それらの健康問題を予防し、介護を必要とせず自立した生活ができる期間（健康寿命）を延ばすことにも貢献しています。

健康運動指導士は、保健師が併せて取りたい資格の中でも最も注目されている資格の一つです。最近では、保健師として培った相談、指導経験を活かし、介護予防事業やスポーツに特化した形で起業するケースも増えています。

高齢者だけではなく、子供たちを対象とした指導にも需要があり、運動や遊びを通した発達支援、健康教育や運動の習慣付けなど、保健師ならではの発想で事業を展開することも可能です。

健康運動指導士の資格を取得するには

健康運動指導士の資格を取得するには、健康運動指導士養成校を卒業する他、指定講習を受講した上で認定試験に合格する必要があります。保健師の国家資格を持っている場合は、指定講習のうち一部のカリキュラムが免除されます。

健康運動指導士の養成カリキュラムでは、保健師の養成過程と重なる部分もあります。健康運動指導士の資格を取得すれば、生活習慣病の発生機序や運動生理学、バイオメカニクス（運動力学）、などについてより深く学ぶことができ保健師としての知識と活動の幅も広がるでしょう。

健康運動指導士の仕事と保健師

健康運動指導士は、地域のフィッネスクラブや健康増進施設の他、病院や介護保険施設、老人福祉施設など、幅広い分野で活躍が見られます。健康運動指導士が対象とする年齢は幅広く、高齢者の健康に関わる事業はもちろんのこと、幼い子供たちへの指導を通し、運動習慣の定着や健康に対する正しい知識の普及活動も行っています。

また、運動は体力の向上や健康増進だけではなく、ストレス解消や認知症予防などメンタル面への効果も期待されています。
中でも、同じような問題を抱える人が集まるグループに対し行う運動指導では、運動が苦手な人でも自然と身体を動かすことができたり、お互いの悩みを打ち明ける場を持つなど、個別指導だけでは見られない変化を引き出すことができます。

また、医師や看護師、地域住民などと連携していくことも求められます。疾病予防に関わる保健師との情報交換は特に重要です。保健師の資格を有した健康運動指導士は多くの場で重宝され、保健師の転職やキャリアアップの資格として非常に有効な資格と言えます。