女性の仕事と言われ続けてきた看護職ですが、ここ10年の間に男性看護師の数は約3倍にまで増加し、現職者数は4万人を越えはじめています。
もっとも、看護師全体で見れば今も女性が9割を占め、圧倒的多数となっていることに変わりはありませんが、男性看護師の存在感が年々高まっていることも事実です。
超高齢社会を支える医療の担い手として質の高い看護師の需要が高まる中、4年生大学で看護師の養成が始まったことも、男性看護師の増加に貢献しています。
また、2002年に改正された保健師助産師看護師法において、女性の「看護婦」男性の「看護士」の名称が「看護師」に統一されたことも大きく影響したと考えられます。
法律上、男性の看護師が助産師になることはできませんが、国家資格を取得した看護師に男女の区別はなく、看護業務の内容にも違いはありません。男性看護師は実際の現場で大変重宝されます。大柄な患者さんの移動では、男性の腕力が役立ちます。
また、女性ばかりのストレスフルな環境では、男性看護師の存在が潤滑剤の役割を果たすことも多く、積極的に男性看護師を採用する医療機関が増えています。
最近では、看護師の男女比率を一定に保ちたいと考える医療機関も多くなっており、求人の面でも差が縮まりつつあります。
結婚や出産を機に退職する女性看護師に比べ、男性看護師は離職率が低いことも求人数が高まる理由の一つです。
男性看護師数は右肩上がりに上がってはいるものの、現場ではまだまだ少数派であるのが実状です。
医者や介護士に間違えられるだけではなく、「看護師は女性であるべき」という考えが患者さんに根強く残っているケースでは、担当を外して欲しいと言われることも少なくないようです。
女性に圧倒されがちなイメージがある一方、「困った時に頼りにされる」存在こそが男性看護師の大きな魅力の一つとして挙げられます。
腕力を要する場面では男らしさを、情緒不安定な子供のケアや孤独な高齢者に対しては父性を発揮し、男性看護師ならではの魅力と存在意義をアピールすることができるでしょう。
また、待遇(給与)面においても女性看護師に比べ高額になる傾向が高いと言われています。
基本的な業務内容は変わらないものの、男性の方が夜勤を多くこなしていたり、現場管理者として重要な立場に就くケースが多いため、平均年収が高くなるという理由もあります。
男性看護師の仕事は、資格手当や夜勤手当がある上にリストラや倒産のリスクが低く、安定収入を期待することができます。さらに、大学院進学や認定看護師の資格取得によるキャリアアップの道も開かれていることから、男性が看護大学や専門学校に進学を希望するケースはますます増えていくことが予想されています。