保健センターで近隣住民の健康相談を行ったり、妊婦さんや高齢者の生活サポートをしたり、地域医療には欠かせない存在が保健師です。こちらでは、この職業に関心を持っている方のために、役割と仕事内容を歴史とともにご紹介します。就職活動の中で、業界研究を行っているという方は一読いただければと思います。
世界的には、古く産業革命の時代にまでさかのぼります。発展のために過酷な労働を余儀なくされていた労働者の健康を守るための活動の一環として、保健師という職業の原型ができました。
日本で同様の活動がはじまったのは、明治維新から。経済的な理由から、医師の診察を受けることができない人に対して保健サービスを行ったのが最初です。
そして、正式な職業として試験制度がスタートしたのが2003年。保健師という名前が使われるようになったのもこの時からです。名称が使われるようになってから日が浅いため、認知度はまだあまり高くないのは否めません。ただし、仕事自体は以前から存在しており、人々の健康的な生活を支え続けてきた重要な職業と言えるでしょう。
資格取得後は、地方自治体が運営する保健センターに就職するのが保健師の一般的な働き方です。地域に住まう人の健康相談を受けたり、必要に応じて検診や家庭訪問、電話カウンセリングを行ったりして、多くの人が心身ともに健康な状態を維持できるようサポートを行います。
相談内容は、一般的な健康相談から、赤ちゃんの成長に関する内容、介護の悩み、育児のちょっとした疑問まで多種多様。自分だけでは回答が難しい場合は、より専門的な知識があるスタッフと連携しつつ対応します。
予防医療は、国から各自治体へと運営主体が移るに伴い、ニーズが高まっている分野です。専門知識を持つ人材の需要も増えているため、保健師は今後ますます重要度が増すと予想される職業と言えます。
健康保険組合があるほどの大きな会社では、専門資格を保有する人材を最低一人は確保するよう義務付けられています。数自体は多くはないものの、このような求人に応募、社員のヘルスケアを行うことも選択肢として可能です。
民間企業に勤める場合、雇用形態、所属部署、業務委託かどうか、給与水準などはまちまちです。労働条件を確認の上、希望に近い求人に応募するようにしましょう。
人事部所属になる場合は、社員の健康面だけでなく、組織の利益も重視して行動する必要がでてきます。公共施設とは異なったストレスを感じることもあるため、やや注意が必要です。
メリットとしては、大企業独自の充実した福利厚生と高い給与水準を得られるケースがあることです。仕事の大変さと得られるものをはかりにかけて、後悔のない選択をしましょう。
この職業は、相談者一人ひとりの生活に寄り添い、信頼関係を築いた上でよりよく生きるサポートをするところにやりがいがあります。カウンセリングマインドが強く、誰にでも等しく優しくできる人に適した職業と言えるでしょう。人の役に立ちたいという想いが強い方は、資格取得の上新しいキャリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。